アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ

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『学研 音楽まんがシリーズ 伝記 世界の大作曲家 -15人の偉人伝』 ざっくりレビュー

 

 

子供向けの音楽家の伝記本。1992年初版で、私が読んだのは2008年の新装版です。例によって図書館で借りてきました。リブリオ出版の音楽家の伝記シリーズでおなじみ「ひのまどか」さんが監修しています。

一つ前の記事で紹介した『教科書にでてくる 音楽家の伝記』(講談社)との比較のために借りました。そちらのレビューもあわせてどうぞ。

 

nyaon-c.hatenablog.com

 

今回も全体の印象をざっくり紹介したいと思います。長くはしない予定です。

例によって内容に触れる部分は念のため畳みました。続きは「続きを読む」からお進み下さい。

 

(以下ネタバレあり)
章を設けて取り上げている15人の作曲家は以下の通りです(掲載順)。
バッハ
ハイドン
モーツァルト
ベートーヴェン
シューベルト
シューマン
ショパン
ワーグナー
フォスター
チャイコフスキー
ブラームス
ドヴォルザーク
ドビュッシー
滝廉太郎
バルトーク

また、「音楽家人名辞典」として簡単な解説がある音楽家は以下の通り。
ヴィヴァルディ/ヘンデルウェーバーベルリオーズメンデルスゾーン/リスト/ヴェルディヨハン・シュトラウス2世サン=サーンスムソルグスキーマーラーラフマニノフシェーンベルクラヴェルストラヴィンスキーガーシュイン

本の後ろの方に「音楽史のまとめ」という小さな活字で書かれたコラムがあり、また付属のCDでは15人の作曲家の代表曲をさわりだけ聴くことが出来ます。CDに収録されているのは有名曲ばかりですが、曲名のおさらいや知らない曲の確認にどうぞ。私はこれを聴いてから、気になったシューマンの「ピアノ協奏曲」をフルで聴きました。

マンガの内容について。さすが学習まんがを数多く手がける学研、少ないページ数でも多くの内容を盛り込んでいます。欄外の「まめちしき」も併せて読めば、駆け足であっても重要ポイントはきちんとおさえることができます。漢字にルビはありますが、内容が少しだけ込み入っているので、前回紹介した講談社版よりは少し大きい子向けのような印象を受けました。講談社版も良いですが、こちらの学研マンガもおすすめです。

真面目な印象があるハイドンが意外におちゃめさんだったり、ショパンが子供の頃に似顔絵が上手で人気者になったり、フォスターは遊び人で曲は有名になってもみじめな晩年をおくったりと、きれいごとだけでない音楽家の素顔を描いているのは好印象です。でも、さすがにワーグナーの不倫関係や人間性はぼかしていましたが。ドビュッシーも女性関係の話はナシです。

あとは、担当した漫画家が4名いて、当たり前ですがそれぞれ絵やストーリーの進め方に個性があります。漫画家さんによって読みやすいものとそうでないものが、私にはありました。講談社版も執筆者は複数いるのですが、そちらはあまり気にならなかったです。

少し気になるところがあるので、ちょっとだけ内容に踏み込みます。私が比較的その人生をよく知っている作曲家はベートーヴェンブラームスなのでその二名で。

まずはベートーヴェン。数多くの恋バナは全部カットの潔さで、触れられていた逸話はアル中の父親(ひどい鬼畜に描かれている)のしごきにネーフェ先生との出会い。ヴェーゲラー、ブロイニング家の人々との交流に、モーツァルトとの出会い。シュタインベルトとのピアノバトル(秘技楽譜返し!)。ハイリゲンシュタットの遺書。ナポレオンと「英雄」。皇族に最敬礼するゲーテと堂々と振る舞うベートーヴェン。甥カールのこと。そして「第九」。もう盛りだくさんです。それでも、自殺を思いとどまらせたのが弟子のリースだったことが気になりました。尺が足りないのか、弟子が皆の思いを代弁してベートーヴェンが納得する展開になっておる。うーむ、仕方が無いのかな?

次はブラームス。幼い頃からピアノの才能を発揮して、良い先生にも恵まれたことから地元ではちょっとした有名人に。アメリカ行きを打診してきた人をピアノの先生が拒んだ逸話や、酒場でのバイトもきれいごとではなく描かれています。レメーニとの演奏旅行で、調律が半音ズレていたピアノをその場で半音ずらして弾いた逸話も。そしてヨアヒムやシューマン夫妻との出会い。「ドイツレクイエム」の成功。こちらも短い尺の中で重要な逸話をしっかり盛り込んでいました。ただ、スミマセン。ブラームスの両親は父親をおじいさんっぽく描いていますが、逆です。父親はうんと若くて、母親は父親の17歳年上です。あと「大学祝典序曲」は、わざと楽しげな曲にして受け取った側もあえて残念そうにふるまったんですが、なんかただあきれかえったように描いてますね。こういったニュアンスを表現するは漫画家さんの腕の見せ所では?重箱の隅突きおわり。他の作曲家の章でもそういった解釈違いはあるということは念頭に置いて読もうと思いました。この本に限らず伝記マンガ全般に言えることですが。

では今回はこの辺で。最後までおつきあい頂きありがとうございました。