Kitaraあ・ら・かると 2018(2018年5月) レポート
札幌コンサートホールKitaraの「ゴールデンウイークの音楽祭」のうち、3つのコンサートに子供達と一緒に行ってきました。札幌にもようやく春が訪れ、隣接する公園の桜は満開から少し緑の葉っぱが見えるようになっていました。
今回は私が鑑賞した3つのコンサートについて簡単なレポートを書きます。なお私はクラシック音楽を聴き始めたばかりの新参者です。素人の感想文となりますことをご了承下さい。
【きがるにオーケストラ】2018/5/3 札幌コンサートホールKitara 大ホール
名曲で巡る、世界音楽旅行!と題したコンサート、中1の息子と行ってきました。短めの有名曲が続くコンサートだったので、息子も比較的楽しんで聴けたようです。普段ブラームスばかり聴いている私にとって、今回のように様々な国の作曲家による曲を一度に味わえるのは新鮮でした。何よりプロの楽団による生演奏がたっぷり聴けてとても嬉しかったです。本格的なコンサートホールもプロのオーケストラもハードルが高いと思っていましたが、ぐっと身近に感じられるようになりました。
プログラム
- ガーシュウィン:パリのアメリカ人
- サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
- ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より 前奏曲
- チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35より 第1楽章
- 伊福部 昭:交響譚詩より 第1譚詩 アレグロ・カプリチオーソ
- ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番 ト短調
- ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲集 第1集 作品46より 第1番 ハ長調
- ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」 作品235
- エルガー:行進曲「威風堂々」第1番 ニ長調 作品39-1
- (アンコール)アンダーソン:舞踏会の美女
出演
4曲目の後で休憩、また曲と曲の間には指揮者のかたのお話が入りました。
オルガンのマルタンさんは「威風堂々」に出演。私はこの曲にオルガンが入っているのを恥ずかしながら存じませんでした。また、コンミスは女性のかたで、2曲目と4曲目以外の曲でのソロ部分も担当されました。
ソリストの成田さんは2曲目と4曲目で登場。お若くて立ち姿がキレイなかたでした。ちなみに札幌ご出身だそうです。私達は比較的前の方の席でしたので、演奏中にヴァイオリンの弓の繊維が何本も切れたのまで見ることができました。それを息子が気にしていて、休憩時間に「弓の糸が全部切れたらどうなる?弦が切れたら?」などと言ってました。私もわからなくて答えられませんでしたが。
楽器の音合わせの後に指揮の角田さんが颯爽と登場。にぎやかな1曲目が始まり、軽やかにタクトを振るそのお姿を見て一瞬「千秋先輩!」…失礼しました。お若くてシュッとした姿で、「のだめカンタービレ」の千秋先輩はきっとこんな感じなんだろうなと…勝手にごめんなさい。プロフィールを拝読すると、実際に実写版の指揮指導をされていたそうです。つい指揮にみとれてしまいそうになりましたが、やはりせっかくの札響ですので各楽器の演奏も目で追いかけましたよ。指揮者のかたの身体と手が向いている方向を出来るだけ追うようにして、そのパートがどのように応えているのかというのを目でも楽しませて頂きました。録音音源で聴くだけではわからない、それぞれの演奏者が別々に奏でた音が重なって一つの音楽になるのを体感できたのは何よりよかったです。異なる3つの舞曲が続く所では、タクトにあわせて各パートの音が踊っているよう。もちろんどの曲も個性的で楽しかったです。多少楽器構成が変わることはあっても、ほぼ同じメンバーがイメージの異なる曲を次々と奏でるのはまるで魔法を見ているようでもありました。
特に印象に残ったのが前半最後の曲であるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。私、なぜか涙が出て仕方が無かったんです。美しいメロディを情熱的に奏でるソリストと、支えるオーケストラ。同じ旋律をオーケストラが演奏する場面もあって、演奏中はもう何度でも心に突き刺さってきました。標題音楽ではないのでイメージは一つではないですし、聴く人や聴くタイミングによって違ってくるとは思いますが、このとき私は「厳しく長い冬が終わって春が訪れた瞬間」まさに今現在の北海道の風景を思い浮かべました。指揮者のかたのお話にあった「情景が浮かぶ旋律」(※情景の具体例はありませんでした)がわかった気がします。第1楽章のみでしたが、客席は「ブラボー」とスタンディングオベーション。ハンスリックがこの曲を酷評したのが信じられません。もちろん私はブラームスのヴァイオリン協奏曲はすごく好きですよ。しかし今回聴いたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も大好きになりました。指揮の角田さんとソリストの成田さんと札幌交響楽団の皆様に感謝です。同じメンバーによるフルの生演奏をいつか聴いてみたいです。もちろん作曲家チャイコフスキーにも感謝。ちなみに息子も思うところがあったのか、「なんで(クラシカロイド)2期にチャイコのムジークがなかったんだろうね」と帰り道に言っていました。
【3歳からのコンサート・リコーダー】2018/5/5 札幌コンサートホールKitara 小ホール
午前中にあったリコーダーのコンサート、5歳の娘と一緒に聴いてきました。
プログラム
- ジョップリン:オリジナルラグ
- ヘンデル:リコーダー・ソナタ ヘ長調より 第3楽章と第4楽章
- クープラン:愛のうぐいす
- エイク:「笛の楽園」より ナイチンゲール
- ヴィヴァルディ:「忠実な羊飼い」より ソナタ ト単調 第4楽章
- モーツァルト:アンダンテ K.315
- モンティ:チャルダッシュ
- パウエル/江崎浩司編曲:サンバに夢中
- マンシーニ/江崎浩司編曲:ピンクパンサーのテーマ
- エルガー/江崎浩司編曲:愛のあいさつ Jazz版
- ハチャトゥリアン/江崎浩司編曲:剣の(小)舞
- マルケッティ:魅惑のワルツ
- (アンコール)テレマン:ソナタ 第3番 ホ短調 (12のメトーディシェ・ゾナーテン)より 第2楽章
- (アンコール)モンティ:チャルダッシュ
出演
- リコーダー/江崎 浩司
- ピアノ/矢崎 有佳
リコーダーの江崎さんは札幌ご出身で、会場には後輩にあたる中学校のリコーダー部の生徒達も。曲の合間のお話も楽しく、あっという間の45分間でした。親世代にはなじみのある曲が多くて、最初から最後まで楽しい時間を過ごすことができました。ただ、うちの娘には長かったようで途中はおとなしくお絵かきしていたり。会場内は小さなお子さんも多く、周りも似たような感じでしたので肩身が狭いことはなかったです。音色が優しいせいもあるかもしれませんが、子供達も聴ける範囲で楽しんでいた様子でしたよ。会場全体が楽しい雰囲気で、「練習」と称して始まった「ブラボー」と拍手も最後の方では本物になっていきました。
リコーダーは大小さまざま取りそろえてあり、曲にあわせたものを使っておられました。舌を鳴らしてリズムをとってみたり、2本のリコーダーを一度に吹いてみたりと、色々な演奏方法を拝見できたのも楽しかったです。モンティのチャルダッシュはヴァイオリンの曲として有名ですが、リコーダーでの演奏もまさに超絶技巧!アンコールとあわせて2回も生演奏を聴けてありがたかったです。
なお、江崎さんがEテレ「おんがくブラボー」に番組出演なさった動画がEテレサイトにありました。「剣の舞」はまさにこのような演奏でしたよ。以下にリンクを貼っておきます。
www.nhk.or.jp
また、公演後は合流した息子とパパも一緒に楽器体験コーナーを回り、なかなか音が出ないトロンボーンに苦労したり小さなハープを優雅な気分で奏でたりしました。息子は自分で作ったミニオカリナを気に入ったようです。家族4人で昼食をとった後、娘とパパは先に帰宅してもらい、息子と私は大ホールへ向かいました。
【マルタンさんのオルガン・ファンタジー!】2018/5/5 札幌コンサートホールKitara 大ホール
「ゴールデンウィークの音楽祭」の最終公演は、中1の息子と行ってきました。大ホールの正面にでんと構えるパイプオルガン。せっかくなので一度は本格的なオルガン演奏を聴いてみたいと思ったのです。
プログラム
- J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV541
- J.S.バッハ:ライプツィヒ・コラール集より「おお愛する魂よ、汝を飾れ」BWV654
- スウェーリンク:大公の舞踏会
- アラン:リタニー JA119
- ヴィドール:オルガン交響曲 第5番 ヘ短調 作品42-1より 第2楽章 アレグロ カンタービレ
- モーツァルト:自動オルガンのためのアダージョとアレグロ ヘ短調 K.594
- グレゴリウス:映画「月世界旅行」×オルガン即興演奏
出演
マルタンさんは最初に日本語で挨拶されました。司会のかたが入って、2曲毎に曲の解説やKitaraのオルガンについてのお話がありました。カメラが設置されており、演奏中の手元や足元を大画面で確認できたのはよかったです。客席からはオルガンがある場所が遠く、そのままではどうしても弾くところが見えないので。オルガンは鍵盤が多いのもさることながらそれ以外にも操作する場所が多くて、手も足も忙しく動いて演奏しているのがよくわかりました。
オルガン曲はなじみが薄く、私は恥ずかしながら見事に知らない曲ばかりでした。しかし演目はすべて印象が異なる曲ばかりだったので興味深く聴き入っていました。オルガンの音色って想像以上に色とりどりで、午前中に聴いたリコーダーに似た音もあれば金管楽器のような音もあって面白かったです。
最後は古い無声映画に即興で音楽を付けるもので、これには息子も食いついていました。爆発音や歩く音などもオルガンで表現していて、台詞はなくとも場面がよくわかる演奏でした。映画はハチャメチャなコメディで、頼りないロケットで飛び立って普段着のまま月面上陸したり、丸腰の博士達が宇宙人をなぎ倒してやたら強かったり。ある意味ベタな笑いとはいえ、妙におかしくて笑いをこらえるのに必死(笑)。演奏会ということもあり、周りは静かだったのでそこはぐっとこらえました。
また、公演後はバックステージツアーがあり、パイプオルガンを間近で見たり普段は入れないステージを歩いたりしました。オルガンを見た後に楽屋につながる階段を下りながら、私「ヤキトリ工場があるよきっと」息子「お相撲回じゃないんだから」なんてクラシカロイドネタの会話をちょこっとだけしました。
今年のGW後半はコンサートをたっぷり楽しむことが出来て嬉しかったです。ママにつきあってくれた2人の子供達、そしてお留守番を引き受けてくれたパパ、ありがとう。つきあってくれるうちは、またこのような機会に子供達と一緒に良い演奏を聴きに行きたいです。
最後までおつきあい頂きありがとうございました。
※この記事は「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c