アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ

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『クラシカロイド』にブラームスが登場するためには / おすすめの曲(ピアノ小品ほか)についても

突然ですが、私はブラームスが好きです。興味を持ったきっかけはひのまどかさんの伝記本(『人はみな草のごとく ブラームス物語』ひのまどか(著) 読みました)です。図書館に『孤独な放浪者』(『孤独な放浪者 シューベルト物語』ひのまどか(著) 読みました)を借りに行った際、たまたま隣にあった本を一緒に借りたのが運命の出会い。伝記を読んで、まずは人物を好きになりました。それからというもの、手当たりしだいに曲を聴き、ブログに感想文をあげてない本も色々読みました。『クラシカロイド』にブラームスはいないのに、『クラシカロイド』をきっかけに史実を勉強する過程で偶然出会ったのですから、人生は面白いです。

ブラームスは現在放送中の第2シリーズには出ていません。第3シリーズや劇場版の情報も現時点(2018/02/23現在)ではありません。ブラームスはバッハ、ベートーヴェンと並ぶドイツ三大Bでありながら、『クラシカロイド』では一人だけハブられているのが現状です。今後番組が続く場合、ブラームスは追加ロイド候補になることは十分に考えられますが、今まで落選してきたのには理由があると思うのです。そこで今回は、今後『クラシカロイド』にブラームスが登場するための課題は何か?その対策は?私なりに考えてみました。あわせてこれから聴くかたへおすすめの曲(ピアノ小品ほか)についても書きます。とは言っても、私は自分で聴き始めてせいぜい数ヶ月の新参者であり、音楽の知識もないので論理的に正しいことは言えません。素人の感覚的なお話になりますことをご了承くださいますようお願いします。なお、ひどい間違いは指摘頂けますと助かります。

なぜ今まで『クラシカロイド』にブラームスが登場していないのか?それは有り体に言えば「扱いが難しいから」だと思われます。人物と楽曲、いずれにも課題ありです。以下、ゴリ押しする意図はありませんが、今後ブラームスが『クラシカロイド』の仲間入りをすると仮定した場合、課題とどう向き合うか?あくまで私個人の考えを述べます。

まず人物について。ごくおおざっぱに言うとブラームスの性格は「無口で皮肉屋だけど心に秘めたものがある情熱家」。キャラ変なしでキャラ立ちさせるためには、いつもそばにいる通訳が必要かもしれません。史実での関係性を考えるとドヴォルザークが適任かも。その場合、ドヴォちゃんは人間になったほうがよさそうです。また、ブラームスは合唱団の指導や芸術監督をつとめた人なのでプロデューサー向きだと思いますが、そうなるとバッハと立ち位置が被ります…。第2シリーズではワーグナーがバッハを追い出してしまったので、できれば第3シリーズ以降はバッハの活躍の場もあってほしいです。となると、ブラームスはバッハの片腕となるか、もしくはプロデューサー業はさせないかのどちらか。うーん、決められない(笑)。人間関係では、リスト、ワーグナーとの対立やドヴォルザークとの良好な関係は大いに掘り下げできそうです。バッハ、ベートーヴェンシューベルトは大好きで、チャイコフスキーとは気が合わないというのもうまく扱えれば生かせそう。ただ、ロイドではないとはいえクララ・シューマンとの関係をどうするかはネックになるかもしれません。この恋を取り上げるとなると、子供向けアニメではなくなってしまうおそれがあります。いっそのこと大人向けに大きく舵を切り直すか、あえて恋バナはガン無視して既存ロイド達との人間関係に焦点を当てるか。個人的には後者を推したいです。『クラシカロイド』はやはり子供と一緒に楽しみたいですし、この恋はアニメの短い尺の中で扱うには重すぎると考えるからです。とは言っても、クララ・シューマンがいなければ生まれなかった名曲はたくさんあるので、ガン無視は不自然かも…悩みます。安いソープオペラにはしないでほしいのですが、暗に存在をほのめかすレベルで触れるのが自然かもしれません。

次に楽曲について。致命的なのは子供が聞いて「ああこの曲」とピンとくる曲が少ないこと。それこそ、「ハンガリー舞曲第5番」「ワルツ15番」「子守歌」くらい。もちろんこれらも良い曲ですが、ブラームスの神髄は4つの交響曲やヴァイオリン協奏曲、ドイツレクイエムや多くの室内楽といった大作の数々にあります。これらの代表作は、いずれもさほど派手ではありません。また一見とっつきにくいです(※難解という意味ではありません、念のため)。『クラシカロイド』では、ほんの一部しかムジーク化されていないチャイコフスキーの例もあるので、とっつきにくい大作は避けるという選択肢はあるかもしれません。でもそうなるとバッハ、ベートーヴェンと並ぶ作曲家だという説得力に欠けてしまうので、やはり大作もムジーク化してほしいなと思います。まあ、予備知識がなくてもムジークさえカッコ良ければ子供は食いつくので大丈夫なはず。ソースはうちの子供たち。脱線失礼、話を戻します。私の浅い知識で語るのはおこがましいのですが、ブラームスの大作はいずれもムジーク化が難しそうな印象です。主旋律だけを強調する形ではムジークは作れないと思われます。作曲家自身が考え抜いて重ねているサブの旋律や和音もあわせて盛り込まないと、おそらく薄っぺらいものになってしまう。もちろん、ほぼすべてのクラシック音楽の曲がそうであるように、主旋律だけでは曲は成り立ちません。ただブラームスの曲は特にそれが顕著なのです。なので、このあたりをしっかり料理してくれるムジークプロデューサーを起用して頂きたいです。私には候補となるかたが思い浮かばないのですが。

色々書きましたが、「ブラームスの曲がわかればクラシック音楽はより楽しくなる」と私は思うのです。ソースは私(ドヤァ)。私は最初から丸ごと好きになったわけではなく、よくわからないけどなんとなく良いなと思って聴いてきたにすぎません。うまく言えないのですが、男らしい力強さだけでなく、甘美で物悲しいメロディがなんとも言えず心に沁みます。理屈なんてまるでわかりませんが、私の感性には合っていたようです。そんな私でも、聴いているうちにブラームスの音の組み立て方や展開方法、まとめ方が感覚的に少しだけわかってきました。「同じ主旋律を繰り返しているけど、重ねている音が変化するから違うイメージで聞こえる」とか「この辺はこっそり教会オルガン曲っぽいメロディを仕込んでいる」とか。派手な主旋律に引きずられない作りだからこそ、純粋に曲の作りが見えてくるのかもしれません。そうなると、とっつきにくいと思っていた大作が「よくわからない音の塊」ではなく「重なるからこそ美しい旋律」に聴こえてきます。さらにこの状態で「他の作曲家の曲」を聴きなおすと、「前に出たメロディが変化して再登場した」「ここで主旋律を楽器のチーム毎にリレーしている」など、新たな発見があるのです。これは嬉しい誤算でした。私が子供の頃、父がヘビーローテーションしていて「覚えた」と思っていた「第九」や「新世界より」も、今聴き直すと以前よりずっと楽しめるようになっています。ブラームスのおかげです。私はブラームスの全集をあと2周くらい聴いたら、次はベートーヴェンドヴォルザークをじっくり聴いてみようと思っています。また、ブラームスは変奏曲をたくさん作っているので、元ネタのシューマンハイドンも少しずつ聴いていきたいです。

ブラームスに興味を持ったかたへ。いきなり大作にチャレンジして苦手意識を持ってしまうのはもったいないので、聴きやすい曲から少しずつ聴いてみませんか?独特のセンチメンタルな響きや全体的に重い雰囲気がどうしても合わない、というかたには無理強いしませんが、これから紹介する曲はそんな重量級のものではありません。むしろロマンチックな旋律が心地よいです。そして真剣に聴かなくていいので、ギョーザーの具を包んだり生協さんの注文書を書いたりしながら気楽に聴いてみてください。案外そんな時に好みの曲に出会ったりします。私はいつも「ながら聴き」です。時々ビビっとくる部分に出会ったら、そこだけ巻き戻してじっくり聴くこともあります。いきなりCD購入はちょっと、というかたは図書館やレンタル店で借りて聴くのもアリです。これから私が聴いたことがあるCDの一部を紹介しますが、もちろんこれ以外にも録音はたくさんあります。以下にあげる録音をいくつか聴いて「いける」と思われたかたは、ツイッターで私に声をかけてください。次に何を聴くか等、色々とお話しましょう(笑)。

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はじめの一歩は、やはり「ハンガリー舞曲」と「ワルツ」かなと思います。「ハンガリー舞曲」はテンポが良いので聴きやすいですし、「ワルツ」は素朴でちょっとかわいらしくて良いです。それぞれ短い曲がたくさん集められているので聴いていて飽きません。ただし、全集等にはよく収録されているものの、単独で手に入るCDは比較的少ない印象があります。

 

ブラームス:ハンガリー舞曲集

ブラームス:ハンガリー舞曲集

 

 

管弦楽版の「ハンガリー舞曲」。クラウディオ・アバド指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。勢いがあって気分が上がります。元気が出るのでおすすめです。

 

ブラームス:ハンガリー舞曲集、16のワルツ

ブラームス:ハンガリー舞曲集、16のワルツ

 

 

「ワルツ」はピアノ連弾です。「ハンガリー舞曲」も元々はピアノ連弾の曲でした。そのすべてが余すところなく収録されています。アロイス&アルフォンス・コンタルスキーの演奏。素人目には、2人で音をそろえて演奏するのはかなり難易度高そうに思えるのですが、まったく違和感はなく純粋に演奏と曲そのものを楽しめます。

 

ハンガリー舞曲」と「ワルツ」を聴いて、ピアノが素敵!と感じたかたには、ブラームス最晩年のピアノ小品をおすすめします。作品116から119はそれぞれ短いながらも珠玉の名曲揃いです。117-2はとくに有名ですが、他も全部良いですよ。特に118と119は通して聴くと「人生」が感じられます。ブラームス後期ピアノ小品はCDも多く、よりどりみどりです。私は後期ピアノ小品が好きで好きで、いくつもCDを買いそろえて聴き比べています。

 

ブラームス:ピアノ小品集

ブラームス:ピアノ小品集

 

 

一番初めに聴くならラドゥ・ルプーをおすすめします。良い意味で「変な癖」がなく、聴きやすいです。すべて作品番号順に登場するのもいいです。117、118、119以外には「2つのラプソディ 作品79」が収録されています。79の曲自体も良いですし、119-4のラプソディとの違いを聴き比べられるのがうれしい。

 

ブラームス:間奏曲集,バラード,ラプソディー

ブラームス:間奏曲集,バラード,ラプソディー

 

 

癖になるのがグレン・グルード。私が持っているのは2枚組のものですが、1枚ずつでも買えますし、2枚のダイジェスト版もあるようです。あくまでピアニスト自身による選曲と順番で演奏されています。とにかく感情表現がすごいです。こんな解釈もあるんだなと思えます。ただしうんと元気な時に聴くのをおすすめします。私は以前凹んでいるときに聴いたら重すぎて落ち込みました…。

 

ブラームス:ロマンティック・ピアノ小品集

ブラームス:ロマンティック・ピアノ小品集

 

 

アルトゥール・ルービンシュタインもピアニスト自身による選曲と順番での演奏。「バラード 作品10」「2つのラプソディ 作品79」が全部収録されていて、あとは76-2と後期作品は116から118までの中から5曲。押しつけがましくない、色気のある演奏で好きです。

 

ブラームス名演集(2)

ブラームス名演集(2)

 

 

ヴィルヘルム・ケンプは、個人的にはちょっと好みから外れてしまいましたゴメンナサイ!タータータターと流れるように演奏してほしいところを、タッタッタタのように細かく刻んで演奏する傾向があるようで、それがどうしても引っかかってしまって。でもこれはあくまで個人の好みだと思います。

 

ブラームス:後期ピアノ作品集

ブラームス:後期ピアノ作品集

 

 

田部京子の演奏も素敵です。特に左手で弾く旋律がいいなと個人的には思いました。117、118、119のすべてと、「主題と変奏 作品18」が収録されています。あと、こちらのCDは解説がものすごく良いです。ブラームスへの敬意がありますし、後期ピアノ作品を聴くにあたってのポイントもわかります。ハイブリッドSACDなので、専用プレーヤーをお持ちのかたはより良い音で聴けると思います。あいにく私はプレーヤーを持っておらず、CDモードで聴いています。

 

ブラームス:ソロ・ピアノ作品全集

ブラームス:ソロ・ピアノ作品全集

 

 

個人的に一番好きなのが、ゲルハルト・オピッツの演奏。5枚組のソロ・ピアノ作品全集で、後期ピアノ小品だけでなく作品番号付きのピアノ独奏曲が全部入っています。どの演奏も良いですが、特にピアノソナタ第3番が最高!ワルツは独奏版のものが収録されていて、個人的には連弾版よりこちらの演奏が好みです。オピッツの演奏は力強さと繊細さが同居していて、感情表現は過剰ではなく、でも良いところは必ず盛り上げてくれます。おそらくブラームスはこんな演奏をしたのではないかと勝手に思っています。


ここまで読んでくださったかたにだけこっそり告白。今後『クラシカロイド』にブラームスが登場してほしいかどうかについて。私は今となっては「どちらでもいい」と思っています。出てくれれば他ロイドとの絡みやムジークを楽しませて頂きますが、もし出なかったとしても構いません。ブラームスに関しては『クラシカロイド』とは関係なく様々な演奏で原曲を聴いていくでしょうし、関連本も順番に読んでいくつもりだからです。ブラームスはおそらく一生かけて聴いていくことになると思います。こんなに夢中になれる作曲家に出会えた私は幸せ者です。

長くなりました。最後までおつきあい頂きありがとうございました。


※この記事は「アニメ『クラシカロイド』のことを書くブログ(http://nyaon-c.hatenablog.com/)」のブロガー・にゃおん(nyaon_c)が書いたものです。他サイトに全部または一部を転載されているのを見つけたかたは、お手数ですがお知らせ下さいませ。ツイッターID:@nyaon_c